
創作童話 · 7–10歳 · 保護者と一緒に読む

場面 01
地図に入れたいもの
次の日、ココは門のそばのテーブルに、昨日の絵を広げました。見知らぬ葉っぱと、ベンチと、曲がる道があります。お客さんが教えてくれた木も、小さく描いてありました。
「これを見て、ベンチへ行けるようにしよう」ココは門を描き足し、前に歩いた外のわき道につなぎました。ミミは庭の中の大きな植木鉢を指しました。
「水やりをする、あの鉢も入れて。終わったらベンチで休みたいから」ココは空いたところに、丸い鉢を描きました。地図に、行く場所が一つ増えました。
場面 02
鉛筆なら、あっという間
二人は紙を持って、鉢のそばへ行きました。柵のすき間から、ベンチの端が見えます。その後ろでは、曲がった木が枝を広げていました。
ココは本物の鉢と、紙の鉢を交互に見ました。「ベンチはすぐそこだね!」描き足した鉢からベンチまで、短い線をすっと引きました。
ミミが笑いました。「鉛筆はもう着いちゃった。わたしはまだ鉢のそばなのに」ココは鉛筆の先を、鉢の絵へ戻しました。この線のとおりに歩いたら、どうなるでしょう?

場面 03
鉛筆だけが通った道
ココは紙の短い線をなぞり、顔を上げました。本物の鉢とベンチの間には、木の柵が長く続いています。ベンチは近くに見えても、まっすぐには歩けません。
「地図に柵がない!」とココ。ミミは紙と柵を見比べました。「鉛筆だけ、すり抜けたんだね」ココもくすっと笑いました。「足ではできないね」
二人は柵に登ったり、葉っぱをかき分けたりはしませんでした。ココは紙の端を押さえました。地図に何が足りなかったのか、今はよく見えました。
場面 04
ベンチは動かさなくていい
ココは鉢からベンチへ引いた、まっすぐな線だけを消しました。前に描いた門と外の道は残しました。ミミが聞きました。「ベンチの絵を、もっと遠くに動かす?」
「ベンチはあそこにあるままだよ。歩く道が回り道なんだ」ココは鉢とベンチの間に柵を描きました。「鉢から門へ出れば、知っているわき道を歩けるね」
消しゴムのかすが、小さな山になりました。ミミが紙を傾けると、かすがころり。「この山も地図に入れるところだったね」二人は笑って、いつもの門へ歩きました。
場面 05
足で確かめた曲がり角
鉢から門へ、門の外の低い石を過ぎて、わき道へ。知っている道ですが、今日は柵がどこで曲がるか見ました。ココは曲がり角ごとに止まり、線を描き足しました。
ミミは紙を押さえながら、本物の道を指しました。「ここは、もう少し回るね」ココが線を直すと、短くまっすぐだった道が、柵の外を大きく回る道になりました。
顔を上げると、ベンチが見えました。「今度は鉛筆が待っててくれたね」とココ。ミミは先を急がなくなった鉛筆に軽く触れて、二人で最後の曲がり角を回りました。

場面 06
葉っぱのズボンがなる木
ベンチの日陰の端は、きれいなままでした。背もたれの後ろでは、木の幹が横に曲がって伸びています。枝には、先が丸く二つに分かれた葉がついていました。
ココは道の端に落ちていた葉を一枚拾い、絵と並べて見ました。先も、すじの広がり方も似ています。「お客さんが言ってた木は、ここにあったんだね!」
ミミが枝を見上げました。「木いっぱいに、葉っぱのズボンだ」二人は笑いました。ココは絵の木の場所を確かめ、ベンチの後ろにはっきり描きました。
場面 07
先に歩いた友だち
葉っぱの向こうから、小さな声がしました。「ベンチまでの道を描いてるの? 雨の日は、あの平たい石の横を歩いたよ。あっちのほうがぬかるんでいなかったから」お客さんでした。
二人は道の端の石を見ました。その横に続く、しっかりした地面を数歩歩いてみました。ココはベンチへ来る線のそばに、小さな石を描きました。お客さんが知っていることも、地図に加わりました。
ミミは地図を受け取りました。「今度は、これだけを見て鉢まで戻ってみるね」曲がり角では止まって絵を見て、顔を上げて道を確かめました。ココは隣を歩きました。

場面 08
空白があっても、着いた
石のそばを通り、曲がり角を回って、門を入ると大きな鉢がありました。ミミは鉢をそっとたたきました。「見つけた。今度は足も着いたね!」ココは鉛筆を持ち上げ、あいさつさせました。
二人は門のそばのテーブルに、地図を広げました。鉢から門を通って、ベンチへ続く道があります。木の向こうのすみは、まだ空いていました。そこまでは歩いていなかったのです。
ココは空白の上で鉛筆を止め、横に置きました。ミミが紙の角を押さえました。「これなら、休む場所へ行けそうだね」全部は埋まっていない地図にも、今日いっしょに歩いた道が、はっきり残っていました。
物語の終わりに