続けて読む物語 · 第5話
ライオンの涙と霧の谷
怪力レオンが鉄岩の門を砕くも、小さな毛虫に大泣き!門の奥で明かされたココの石壁の真実、そして南の海から吹き荒れる不気味な紫の嵐の警報が響き渡ります。

創作童話 · 7–10歳 · 保護者と一緒に読む

場面 01
霧の谷を塞ぐ鉄岩の門
険しい道を抜け、霧の谷の入口へたどり着いた仲間たちの前に、家ほどもある古代の巨大な鉄岩の門が立ちはだかりました。黒い鉄と花崗岩が絡み合った門は、鋭いイラクサと硬いイバラのツルで頑丈に縛られていました。
「この門の向こうに星光の木があるんだ!」ルルが大きな長ぐつを揺らしながら叫びました。
ココとタイが体当たりしても、門はピクリとも動きません。ササのドングリ弾もジョコミの氷の槍も、分厚い鉄岩の門にはかすり傷ひとつつけられませんでした。

場面 02
怪力の守護者、ライオン・レオン登場
その時、岩壁を揺るがす轟音とともに、黄金のたてがみをなびかせた巨大なライオンのレオンが堂々と現れました!「ガオォォッ! 皆の者、下がっていなさい! この森の力持ち、正義のライオン・レオンが解決しよう!」
青緑のスカーフと右前足の丸い装備をつけたレオンは、胸をドンと叩いて勇ましく歩み出ました。四本の足をしっかり地につけた姿は、まさに無敵の英雄そのものでした。
「わあ! レオンだ! レオンの怪力なら、あんな門なんて一撃で粉々だね!」ココとササが大喜びで声をあげました。

場面 03
うわぁん! 無敵のライオン大泣き事件
レオンはニヤリと笑い、意気揚々と鉄岩の門めがけて太い腕を振り上げました。まさにその時でした!
頭上の葉から、モサモサとした緑の毛が生えた小さな毛虫が一匹、ポトリとレオンの鼻の頭の上に落ちてきたのです。
「……ん? な、なんだこれは? 動いてる……?」レオンは寄り目になった瞬間、顔からサーッと血の気が引きました。「ぎゃあぁぁん! たすけてぇ! 虫だぁ! 虫がボクの鼻をかじろうとしてるよぉ! ミミ、取ってぇ、うえぇぇん!」
場面 04
ミミのやさしさと粉砕された門
家ほどもある巨体のライオンが尻もちをつき、手足をバタバタさせて泣き叫ぶ姿に、全員があんぐりと口を開けました。天下無双のレオンの唯一の弱点は……『小さな毛虫』だったのです!
ミミがくすくす笑いながら近づき、葉っぱを使って毛虫をそっとすくい上げて草むらに移してあげました。「もう大丈夫よ、レオン。毛虫さんはお花畑へ帰っていったわ」
鼻をかんで涙をぬぐったレオンは、真っ赤になって咳払いをしました。「コホン! あ、ありがとう、ミミ……よし、本気を見せてやろう! ふんぬぅぅっ、ドカーン!」
場面 05
黄金の拳と開かれた谷
レオンのまばゆい黄金のパンチが鉄岩の門のど真ん中に炸裂しました! バリバリバリ、ドッガーーン!
何百年も閉ざされていた巨大な門が粉々に砕け散り、谷全体へ向けて爽やかな風の通り道が吹き抜けました。
「やったー! 門が開いたぞ!」仲間たちは砕けた敷居を越え、霧の谷の奥へと駆け込みました。

場面 06
干上がった小川とココの衝撃
谷の奥へ足を踏み入れた仲間たちは、息をのんで立ち尽くしました。丘の上では、葉が真っ黒に枯れかけた巨大な星光の木が弱々しくうめいていました。
そして、木の根元へ流れるはずの清流はすっかり干上がり、白い砂ぼこりだけが舞っていたのです。
小川の上流を見上げたココの瞳が、恐怖で見開かれました。「そ、そんな……どうしてあそこに?!」 水の流れをせき止めていたのは、庭を頑丈に守ろうとココ自身が積み上げた巨大な石壁の要塞だったのです!

場面 07
壁に閉じ込められた命の息吹
「ボクが……ボクが庭を守ろうとして築いたあの石壁が……森の地下水脈を断ち切り、風の通り道を塞いでいたなんて……!」ココはその場に崩れ落ち、愕然と震えました。
安全のために囲い込んだ高い壁が、森全体の心臓を窒息させる檻になっていたのです。ココの目から大粒の涙がこぼれ落ちました。
ミミがココの肩をそっと抱きしめました。「ココ、悪気があってやったんじゃないわ。知らなかっただけよ。今からみんなで力を合わせて、あの壁を崩せばいいのよ!」

場面 08
南の海から響く紫の嵐の警報!
その時、森全体を揺るがすような不気味で鋭い突風が、南の空から吹き荒れてきました!
空は一瞬にして毒々しい紫色の暗雲に覆われ、油の混じった生臭い潮風とともに、紫の稲妻が山肌を叩きつけました。
「た、ただの雨じゃない! 南の遠い海で、恐ろしい汚染の怪異が目覚めたんだ!」ルルが海の方を指差して叫びました。森と庭、そして海をも呑み込もうとする未曾有の大嵐が迫っていたのです!
物語の終わりに