ハルの絵本

絵本を準備しています。

物語の本へ戻る

一話で楽しむ物語

ジョコミの長ぐつをはいた花

本物そっくりに花を描きたいジョコミ。青いしみを消そうとしたら、水たまりのように広がりました!新しい紙を出したのに、どうして黄色い絵の具を選ぶのでしょう?

本を開く
標準
ジョコミとミミが低いお絵描き用の机で、白い紙と普通のピンクの花が咲く植木鉢を見ている

表紙

一話で楽しむ物語

ジョコミの長ぐつをはいた花

本物そっくりに花を描きたいジョコミ。青いしみを消そうとしたら、水たまりのように広がりました!新しい紙を出したのに、どうして黄色い絵の具を選ぶのでしょう?

12ページ
このページで読む
ジョコミとミミが低いお絵描き用の机で、白い紙と普通のピンクの花が咲く植木鉢を見ている

創作童話 · 7–10歳 · 保護者と一緒に読む

ジョコミとミミが低いお絵描き用の机で、白い紙と普通のピンクの花が咲く植木鉢を見ている

場面 01

一輪の花を、そっくりに

心の庭のクリーム色のネコ、ジョコミは、小さな模様を描くのが好きでした。二つの丸の間に点を一つ、空いたすみに細い線を一本。ちょっと描き足すと絵がどう変わるのか、見るのが楽しいのです。

今日はミミと、低いお絵描き用の机につきました。紙のそばには、ピンクの花が一輪咲いた鉢があります。ジョコミは花の黄色い真ん中と緑の葉を、交互に見ました。

「今日は、この花にそっくりに描くよ」ジョコミは白い紙をまっすぐに置きました。ミミも花を見ます。「じっとしていてくれるね」「うん。モデルがとっても上手」二人は笑って、筆を選びました。

場面 02

ここに少し、あそこに少し

ジョコミは紙の真ん中にピンクの花びらを描きました。黄色い真ん中を入れ、その下に緑のくきをのばします。くきの両側に葉を一枚ずつ描くと、小さな花ができました。

ジョコミは葉の先に細い線を描き足しました。青い目で鉢の花を見て、紙を見て、また花を見ます。「この葉は、もう少し上を向いているね」筆を動かすたびに、似ているところが増えていきます。

花の下には、まだ白いところがたっぷりありました。ミミが紙をのぞきこみます。「花が紙に引っこしてきたみたい」ジョコミはうれしくなりました。本当に、そんなふうに見えました。

紙に描いたピンクの花の下に青い絵の具が広がってジョコミが驚き、そばでミミが絵を見ている

場面 03

青い絵の具が、ぽとん

「空も少し描こうかな」ジョコミは青い絵の具をつけた筆を持ち上げました。筆の先には、思ったより水がたくさんついています。筆を置こうとしたとき、青いしずくが紙の下のほうに、ぽとんと落ちました。

しずくは丸いままでは止まりませんでした。花のくきの下で、横に広がっていきます。ピンクの花びらと緑の葉はそのままなのに、その下に青いしみができました。

ジョコミは鉢と絵を交互に見ました。鉢には、あんな青いところはありません。「そこは、空の場所じゃないのに……」筆を置いて、しみをじっと見つめました。

場面 04

消そうとしたら、大きな水たまり

ジョコミは作業用の布のきれいなすみで、ぬれたところをそっとふきました。青い色が布について、横にのびました。もう一度ふこうとして、やめます。しみは小さくなるどころか、広がっていたのです。

「葉っぱも気に入っていたのにな」ジョコミは布を置きました。ミミも、すぐには何も言いませんでした。二人の間で、ぬれた紙がしばらく光っていました。

ジョコミは筆を筆置きにのせ、いすの背にもたれました。絵の具がかわく間、鉢の花を見ます。花はさっきと同じように立っていました。紙の花だけが、青い水の中に立っているようでした。

場面 05

新しい紙も、この花も

ミミが重ねた紙を指しました。「新しい紙に描き直す?まだあるよ」ジョコミは一枚取って、横に置きました。初めから描けば、青いしみはありません。

でも、最初の絵の小さな葉が気になります。「この花は、残してみたいな」ジョコミが言いました。ミミは新しい紙を少し横にずらし、二枚とも置けるようにしました。

ジョコミは、もう一度しみを見ました。雨がやんだあと、道に残る水たまりのような形です。「ここを歩くと、足がぬれちゃうね」「花に足ってあるの?」ミミが聞きました。ジョコミは、まだ白いところを見ます。「この絵の中では……あってもいいかな?」

ジョコミが紙に描いた花に黄色い長ぐつを二つ描き足し、ミミが見ている

場面 06

黄色い長ぐつ、二つ

青い絵の具がかわいてから、ジョコミはくきの先に短い緑の線を二本描きました。しみのすぐ上に残った白いところへ、線の先に一つずつ、黄色い長ぐつを描きます。一つ、もう一つ。花が長ぐつをはいて、水たまりのふちに立ちました。

ミミは鉢を見て、また紙を見ました。「こっちの花は鉢の中。あっちの花は、お出かけの用意ができたね」ジョコミは長ぐつのつま先を少し丸くしました。小さな形を整えるのが、また楽しくなりました。

「雨あがりに、お散歩する花だよ」ジョコミが言いました。鉢の花に足や長ぐつが生えたわけではありません。ジョコミが変えたのは、紙の上の絵でした。

場面 07

ぱしゃんは、このへん

ジョコミは青い筆に、少しだけ絵の具をつけました。長ぐつのそばに小さなしずくをいくつか、水たまりには短い波を描きます。花が一歩ふみ出したように見えました。

「ぱしゃん!」ミミが小さく言いました。ジョコミがもう一つの長ぐつを指します。「こっちも、ぱしゃん!」二人は、絵の長ぐつが交互に歩くところを思い浮かべました。紙の外の机は、ぬれませんでした。

初めに描こうとした花とは違います。それでもジョコミは、黄色い長ぐつと小さなしずくを、しばらく見ていました。「この花は、お散歩の途中にしておこう」描き足そうとしていた筆を置きます。今度は、絵をかわかす番でした。

ジョコミとミミが黄色い長ぐつをはいた花の絵と変わらないピンクの花の鉢を並べて笑い、そばに新しい白い紙がある

場面 08

水たまりを、ひとまわり

絵がすっかりかわくと、二人は机に広げて、鉢を横に置きました。本物の花は土に根を張っています。紙の花は黄色い長ぐつをはき、青い水たまりに足を入れていました。

ミミが絵のほうへ首をかしげました。「今日はどこへ行くの?」ジョコミが花の声をまねしました。「水たまりを、ひとまわり!長ぐつは二つとも、ちゃんと持ってきました」二人は同じ絵を見ながら笑いました。

新しい紙は、横に置いたままでした。ジョコミは紙と鉢を交互に見ました。次は本物そっくりに描いてもいいし、違う花を想像してもよさそうです。今日の花は、長ぐつをかわかす時間が少し必要でした。

物語の終わりに

本を閉じて少し休んでも大丈夫。心に残った場面を一緒に話してみてください。

ゲームで仲間たちに会う